DANCE GALLERY 9 『夜と絲』

夜と絲

2012.7.10
ダンサーの肉体は鍛えるほど外へと広がり、体の中に何一つ無駄な力がたまらないようになります。それに反比例して精神がどんどん中へと入っていきます。外へひろがるが広がるほど中心がはっきりと表れてくるのです。これはどんな職業にも当てはまると思っています。今の自分の持っているものや思考がすべてではない事を知るといった意味では同じなんです。
ダンスの中でもダンサー、教師、振付家などの職種がありますが、これらの中にも外と中の世界があります。例えば教師では、経験が浅い教師は声を無駄に張り上げたり、生徒よりたくさん踊ったり、かなりの体力を消耗してしまいます。これは教師が成長する過程としては大変重要なことで、このエネルギーは生徒にとっても決して不必要なものではないのです。しかし経験を積むと、人に伝えること自体に力が要らなくなってくるのではないかと思うのです。伝えようと思って伝わるものではないことに気がつくのかもしれません。そして見つめる作業へと移行していきます。
振付家では…中田千湖バレエシアターの舞台を15年続けてきましたが、もし見続けてくださった方がいらっしゃいましたら、その世界に近づいていっているのか.まだ無駄なエネルギーに巻き込まれているのかをご覧になって、この先の成長の過程を見守っていただけましたら幸いに思います。
この分だよ制作および発表するにあたり、様々な面で惜しみないご協力、ご尽力を賜りました皆様に深く感謝いたします。

photo:テス大阪